埼玉県朝霞市の女子中学生が2年ぶりに都内で保護され、23歳の男の身柄が逮捕されたというニュースが耳目を浴びています。
 この事件では、女子中学生は連れ去られてから先月までの約2年間、千葉市内の自宅マンションなどに監禁されていたとのことですが、ニュースによりますと、監禁中、1人でスーパーに行くなど外出もしていたとのことですので、事件の解明はまだまだのようです。

 この男は、近い将来、「未成年者拐取(かいしゅ)罪」と「監禁罪」などで処罰されることになると思われますが、仮に、この男が女子中学生の同意を得て一緒に住んでいた場合、彼の罪はどうなるのでしょうか。
 もちろん、「監禁」とは、意思に反して身体を物理的に拘束することを言うので、女子中学生の同意があるなら「監禁罪」は成立しないことになります(ただし、その未成年者がしっかりと同意の意味を理解しているかという問題は残ります)。

 では、「未成年者拐取(かいしゅ)罪」はどうなるかと言うと、どんなに女子中学生の同意があっても「未成年者拐取(かいしゅ)罪」は成立すると考えられています。
 なぜなら、この罪は、「未成年者」自身を守るのと同時に、「親の未成年者に対する監護権」も守ると考えられています。要するに、たとえ女子中学生が「OK」と言っても親が許さない、ということを重視しているということです。

 ところで、この「未成年者拐取(かいしゅ)罪」ですが、「”誘拐”されていた期間」は、罪の重さ(懲役刑の長さ)にリンクするのでしょうか。
 実は、「期間」は、罪の重さにあまり関係しないと考えられています。
 なぜなら、「未成年者拐取(かいしゅ)罪」は、未成年者を誘惑したり暴行したりして”捕まえた”瞬間に成立し、その後については別の刑罰(監禁罪など)が取り締まることになっているので、「期間」はあまり意味がないと考えられているからです。
 これを難しい法律用語では「状態犯」といいます。
 例えば、窃盗事件も、「物を盗んだ」という瞬間に成立し、その後、盗んだ物を売ったり使ったり壊したりしても、その行為が別な刑罰で取り締まられていない限り、「盗んだ物を売ったり使ったり壊したり」する行為は罰せられないのと同じです。

 今後もいろいろと事実関係が判明してくるのでしょうが、法的なポイントとしては、女子中学生の同意があったのか、すなわち「監禁罪」が成立するのかどうかがフォーカスされていくのではないでしょうか。