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 山形県にて、教員免許がないにもかかわらず、32年間、山形県内の高校で保健体育の授業を行っていた女性がいたことが話題となっています。
 山形県の教育委員会は、「本県学校教育の信頼を損なう極めて重大な違法行為」、「再発防止と信頼回復に努める」などと発表しているようですが、授業を行っていた当の本人に対し、何らかのペナルティはあるのでしょうか。

 この点、学校教員の資格などついて定める教育職員免許法は、まず、「学校(幼稚園、小学校、中学校、高等学校など)並びに幼保連携型認定こども園の主幹教諭、指導教諭、教諭、助教諭、養護教諭、養護助教諭、栄養教諭、主幹保育教諭、指導保育教諭、保育教諭、助保育教諭及び講師」が、学校や幼稚園などで授業を担当する「教育職員」であると定義し、さらに、「教育職員は、この法律により授与する各相当の免許状を有する者でなければならない」と定めています。

 したがって、「教員免許」がなければ「教育職員」になることはできないわけです。

 ところで、「教員免許」があるからといって、すぐに学校で「教育職員」として授業を担当することができるわけではありません。
 なぜなら、「資格」をもっていても、実際に雇ってくれる学校がなければ授業はできないからです。当たり前のことです。

 そこで、公立学校の場合、都道府県や政令指定都市の教育委員会が、民間企業の「入社試験」に該当する「教員採用試験」を実施し、これに合格した者を、その地域の学校に配置し、授業を行わせることとしています。
 その際、教育委員会は、「教員採用試験」の合否を決定する際、試験の結果に加えて「教員免許」を確認するなどして、「教育職員」として雇用することとなるわけです。

 そうすると、「教員採用試験」を受験し「教育職員」として雇用してもらう場合には、当然、「教員免許」が必要となるわけですが、その際、教育委員会が「教員免許」の有無をきちんと確認せず雇用してしまった場合、”無免許”で授業を担当してしまうこともあるわけです。
 結局、”無免許”で授業を担当していたこの女性も悪いのは悪いですが、それよりも、「教員免許」の有無を確認せずに「教育職員」として雇用し、授業を担当させた教育委員会こそ、職務怠慢と考えざるを得ません。
 実際、教育職員免許法は、「相当の免許状を有しない者を教育職員に任命し、又は雇用した場合には、その違反行為をした者は、三十万円以下の罰金に処する」と規定し、”無免許”で授業を担当した者ではなく、教育委員会のほうに罰則を設けております。

 このような法律の建前からすると、「本県学校教育の信頼を損なう極めて重大な違法行為」は、この女性ではなく、山形県の教育委員会にこそ”ブーメラン”として戻ってくる言葉ではないでしょうか。